責任投資レポート
- 概要
- 責任ある投資
- 企業としての責任
- 日本における社会活動
【AB】コロンビア大学との気候変動研究
ABは、気候変動に関する最新の知見をより適切に運用プロセスへ組み入れることを目指し、コロンビア大学の地球研究所と共同で研究プログラムを開発しています。その意図や取り組みについて、ABとコロンビア大学それぞれの参加者の声を紹介します。
真に効果的なESG投資とは~企業とのエンゲージメントを通じた価値創造~
投資信託協会の新プロジェクト『ESG投資 Invest for a Brighter Future!』。アライアンス・バーンスタイン株式会社 代表取締役社長 阪口 和子、責任投資推進室長 臼井 はるながABにおけるESG投資の取組みについてお話しました。
有効な責任投資は、責任ある企業であることへのコミットメントから始めなければなりません。
ESG要因への配慮とエンゲージメントは、ABのアクティブ運用とリサーチ・プロセスの基本です。
ABは、責任ある企業及び投資家としての視点を活かし、ESGに関連する特定の成果を実現するために、目的を持ったポートフォリオを設計しています。
責任投資は単なるうたい文句ではない
ABは、企業責任と責任投資を切り離すことは不可能だと考えます。私たちは、真の意味での責任投資家となるために、責任ある企業であることへのコミットメントを維持する必要があります。
責任ある行動
私たちは、責任ある企業としての取り組みを進めるために、強い決意を持っています。
責任ある投資
私たちは、ほとんどのアクティブ運用戦略において投資プロセスにESGへの配慮を組み込み、目的志向のソリューションを設計しています。
私たちは、会社としてどのように行動するか、そしてお客様のためにどのように投資するかという両面において、責任あるリーダーであり続けることを約束します。
社長 兼 CEO セス・バーンスタイン
ABは、責任を持つということに長期にわたってコミットしています。私たちは、責任ある投資家であると同時に、責任ある企業であるべく全力を注ぎます。
チーフ・レスポンシビリティ・オフィサー エリン・ビグリー
- 概要
- インテグレーション&エンゲージメント
- ソリューション
会社として責任ある投資に取り組む
ABの責任投資チームは、企業責任、環境、社会、ガバナンスの問題に関する専門家で構成され、責任投資実践の中核部分で運用チームと連携しています。責任投資チームは、社内外のリソースのサポートを受け、責任投資運営委員会とABの取締役会によって監督されています。
責任投資レポート
ABの企業責任と責任投資に関する年次レポート
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積極的なエンゲージメントがもたらすもの
データは2022年12月31日現在
データは2022年12月31日現在
ABは、アクティブ投資家としてエンゲージメントを非常に重視しています。ABのアナリストは毎年、企業の経営陣をはじめ、地方債、国際機関債、国債の発行体とミーティングを持ち、対話しています。また、議決権行使を通じたエンゲージメントも行っています。
こうした働きかけを通じて、急速に進化するESG課題に対処するためのより良いビジネス慣行やアプローチについて評価・議論し、変化を促しています。ABでは、エンゲージメントがより優れたリサーチや成果を投資家の皆様、コミュニティ、そして世界に提供することにつながると信じています。
気候変動
アカデミー
ABと米コロンビア大学のクライメート・スクールは、連携して気候変動に取り組みます。私たちは、最も差し迫った気候問題について共に研究し、その知見をABの運用プロセスに組み込み、そして皆様に学びの場を提供します。
エンゲージメント例
チリの電力セクター
チリの発電は石炭に大きく依存しており、非常に資本集約的な産業であるため、企業は稼働中の石炭発電所を閉鎖することに消極的です。また、物価に敏感な消費者の多くは、再生可能エネルギーへの移行を助成するための電気料金の値上げを負担することができません。
ABはチリの4大電力会社(AESアンデス、コルブン、ECL、エネル・チリ)とエンゲージメントを行い、経営陣に石炭発電所を段階的に廃止し、再生可能エネルギー移行に向けた革新的な資金調達方法を構築するよう働きかけています。ABは、環境に優しい電源に注力する企業の方が資本コストが低いこと、既存の石炭発電所は新しい再生可能エネルギー発電所よりもコストが高いこと、炭素税や規制の高まりにより既存の石炭発電所の競争力が低下することを示しました。
4社とも理解を示し、2021年前半、ECLは2025年までにすべての石炭火力発電所を閉鎖する計画を発表しました。AESアンデスは、同社の石炭施設の半数以上を閉鎖することを発表しまた。再生可能エネルギーへの移行に伴う短期的な価格上昇に際し、特に弱い立場にある消費者が耐えられるよう、ABはチリの政府や銀行に対し、CHIPEC(Chile Electricity PEC SpA)の立ち上げを後押しするエンゲージメントを行いました。この事業体は、2021年に約5億米ドルを負債調達し、居住消費者の電気料金を賄い、10年後に価格が下落するまでの差を埋める支援を行うものです。ABは、社会的配慮と再生可能エネルギーへの移行の観点からこの債券発行における主要な投資家の1つとなり、現在も保有を続けています。
ABはこの進展を喜ばしく思う一方で、社会的コストの削減を視野に入れつつ、再生可能エネルギー移行のための創造的な資金調達方法を模索しながら、チリに残る石炭発電所の閉鎖を引き続き支持していきます。
サソール
南アフリカのエネルギー・総合化学会社サソールの脱炭素化への取り組みを支援するため、ABは、気候変動分野の機関投資家イニシアティブClimate Action(クライメート・アクション)100+(CA100+)の共同リーダーとして、2021年も引き続きエンゲージメントを行いました。サソールの気候変動に関する目標達成への道のりは依然遠いですが、同社は2021年に大きな前進を遂げました。
2021年の初めにサソールとミーティングを行った後、ABとCA100+の投資家団体は、同社の脱炭素化計画の不備に関する懸念を同社の取締役会に伝えました。同年9月上旬、私たちは取締役会に対し、気候変動への取り組みに関する適切な移行計画、2050年までのネットゼロへの明確なアプローチ、裏付けとなる資本計画、その他不確定事項に関する透明性確保など、投資家が期待する開示内容を伝える書面を提出しました。
同月下旬、サソールは、2050年に向けたネットゼロ宣言、新たな排出削減目標、脱炭素戦略、資本配分計画、CA100+ベンチマーク自己評価、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)声明などに関する強固な計画を発表しました。また、単一の工場として二酸化炭素排出量が世界最大のセクンダ工場における再生可能エネルギー源を、2030年までに900メガワットから1,200メガワットへと増やすと述べています。
11月、ABとCA100+の投資家団体はサソールの取締役会と会い、戦略及び実行、提案された解決案と代替化石燃料に関する財務・政治・運営上の実現可能性について議論しました。同月末、経営陣は、強制力を持たないものの気候移行計画を打ち出し、株主の96%によって承認されました。ABとCA100+の投資家団体は、計画を効果的に実施することの重要性を強調するフォローアップレターを送り、2022年もエンゲージメントを続ける予定です。
ナショナル・ビジョン
2019年、眼鏡やコンタクトレンズの製造・販売等を手掛けるナショナル・ビジョンの取締役の1人にABは反対票を投じました。同社は新規株式公開後の1年間、期差取締役会(取締役の任期が異なる取締役会)及び定款変更における圧倒的多数決の要件を取り除くことができなかったからです。同社は他にも、過半数投票基準の採用、株主が臨時株主総会の招集や書面上の同意による行為に関する権利を持たない、委任を行えないなど、株主にとって不都合な規定がありました。
2020年、期差取締役会と圧倒的多数決の要件が依然として残っていたため同社に反対票を投じ続けましたが、同年の株主総会書類には2021年にそれらの規定を廃止する計画が示唆されていました。これらのガバナンス問題に関して同社と何度か意見交換を行った結果、ナショナル・ビジョンは2021年の株主総会書類において、私たちの働きかけを反映し、期差取締役会と圧倒的多数決の要件を撤廃することを決めました。また、同社は初の企業責任報告書を発行し、包括的なマテリアリティの評価や、グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)とサステナビリティ会計基準審議会(SASB)の両方の基準に基づく開示が盛り込まれました。
知見
エンゲージメントによって、発行体の戦略や競争優位、潜在的に重要度が高いESG要素を含むリスクや機会への対処方法についての知見が得られます。また、エンゲージメントは、経営能力、戦略、運営、ガバナンス体制に関する評価にも役立ちます。このような知見は、ABのリサーチと投資の意思決定を強化し得るものであり、お客様のためにリスク調整後リターンを生み出すことを最終的な目標としています。
行動
エンゲージメントを通じて、ABはお客様の利益を代弁します。ABのESG哲学とコーポレート・ガバナンス・ポリシーを共有し、発行体の前向きかつ持続可能な変化を促すよう努めます。戦略、財務、ESGや気候変動に関連する問題について議論しますが、最終目的は常に同じです。長期的な視野に立ち、企業価値に対し持続可能なプラスの成果を生み出すよう、企業の行動を促すことです。
協働エンゲージメント
ABは、他の投資家、アセットオーナー、ESG関連の組織・団体と密接に連携し、共にエンゲージメントを行うことがあります。コラボレーションは、ABと他の投資家がそれぞれ独立した意思決定を通じて共通の結論に達し、また協働することでより効率的にその問題について働きかけることができる場合に行われます。また、「共通の要求」がより良い問題解決につながると考える場合にも、コラボレーションが行われることがあります。
PRISM
ABの債券リサーチ・プラットフォームであるPRISMには、ESGに関する独自の評価とスコアが含まれており、投資の意思決定に直接影響を与えます。その目的は単純明快です。より良い情報をより早く得ることは、より優れた意思決定につながると考えます。
ESIGHT
ESIGHTは、運用チームが発行体のESG活動に関する情報にアクセスし共有できるワンストップ・プラットフォームを提供します。ESGナレッジセンターの導入、リサーチ・ファクターとしての新型コロナウイルスの取り込み、債券の国別ESGスコアの導入など、いくつかの改良を行いました。
責任あるソリューション
2022年12月31日現在
2022年12月31日現在
目的を持ったポートフォリオ
2022年12月31日現在
2022年12月31日現在
目的を持ったポートフォリオの運用資産総額は2022年12月31日現在で240億米ドルとなっており、ABで最も急速に成長しているビジネスの1つです。また、ESGインテグレーションやその他ESGに焦点を当てた戦略の運用資産総額は4,450億米ドルにのぼります。
レスポンシブル・プラス
気候変動への対応力、ESG分野における改善、ベストインクラスの資産配分など、責任投資におけるさらに多くの目標達成を目指します。当ポートフォリオは、ESG問題をよりよく管理するためにさまざまな戦略を採用し、気候重視、ESGリーダー、変化カタリストの3つのサブカテゴリーのいずれかに分類されます。
サステナブル
国際連合の「持続可能な開発目標(SDGs)」が提示する環境や社会の課題を特定し、それに取り組む製品やサービスを提供する発行体を投資対象とします。主なテーマは、気候、健康、エンパワーメントです。
インパクト
社会または環境にとって好ましく、また測定可能な影響を与えると考えられる発行体を投資対象とします。
サステナブル・テーマ
- 気候
- 健康
- エンパワーメント
- 制度
気候
気候変動を食い止めるための取り組みが、世界中で活発化しています。多くの消費者、企業、政府関係者が、変化の必要性を認識しています。
- クリーンエネルギー
- 資源の効率利用
- 衛生とリサイクル
- サステナブル・モビリティ
健康
医療費が増加する一方、人々は長生きするようになっていることから、質の高い低コストな医療や介護ケアへのアクセスが難しくなっています。
- 良質な医療へのアクセス
- 食の安全とクリーンな水
- 医療イノベーション食
- ウェル・ビーイング
エンパワーメント
経済や社会の圧力によって多くのコミュニティが社会から疎外されています。持続可能な経済発展、雇用拡大、貧困撲滅、社会的共生を生み出すための物理的及びテクノロジーのインフラが必要です。
- 教育・雇用サービス
- 金融アクセス
- 情報通信技術
- サステナブル・インフラ
制度
責任あるソブリンは、民間部門がイノベーションを創出し、効果的で説明責任のある公共政策を立案する基盤を提供します。
- 自由と基本的人権
- 腐敗防止と政府
- 法律と秩序
ABそして社会全体の発展を推進する
ABはダイナミックで多様性に富み、インクルーシブで、互いに力を与え合う環境を作り出すために努力しています。ABの目標は、社員の能力を最大限に引き出し、ひいてはABがサービスを提供している多くのコミュニティを発展させることです。
ABにとっての社会的責任とは何か
2021年の寄付総額
万米ドル
2021年に慈善活動を提供した団体
以上
2019年から2021年の「Day of Service」プログラム
2019年から2021年のボランティア活動時間
時間以上
コミュニティにおけるAB: 使命としての奉仕
「World Soil Day」に、サンフォード・C・バーンスタインのインド・チームは、非営利団体グローバル・パーリとともに苗木を植えました。ボランティアに参加した従業員は、果樹を植えながらマハラシュトラ州の農家の収入増に貢献している技術革新について学びました。
株式プロダクト・マネジメント部のジョン・コベッツは@frontlinefoodsnashを主宰しています。ナッシュビルの医療従事者に地元のレストランから2,000食の食事を届けるとともに、3万米ドルを超える寄付を集めることに貢献しました。
2020年に米国をはじめ各地で起こった不公正に関する問題や社会不安により、私たちが前進しなければならない必要性が高まっています。ABでは、多様な見解、アイデア、バックグラウンドの価値を認識し、変革を推進することを目指しており、その取り組みとして、黒人の男性及び女性を取締役会メンバーに加えました。また、多様な才能、経験、見解をもたらすリーダーがシニア・レベルで意思決定の役割を担うために、ダイバーシティ&インクルージョン責任者を含む3名を新たにオペレーティング・コミッティーのメンバーとして指名しました。
学生がいる家庭にインターネットを
2020年8月、ABはGoogle Fiberと協力し、それぞれ5万米ドルをナッシュビル学校教育財団(https://nashvillepef.org/)に寄付しました。寄付金は、ホットスポットの設置費用や、充電ケーブルやその他のテクノロジー機器などの購入に充てられます。同財団は、ナッシュビルではブロードバンドにアクセスできない家庭が7,000世帯あると推定しています。
マーサ・オブライエン・センターの遠隔学習ラボ
メトロ・ナッシュビル公立学校(MNPS)はオンラインのリモート学習を行っていますが、学生やその家族にとって自宅で学習するということは常に難しいものです。ABは、パンデミック時に学習スペースと支援を必要とするMNPSの学生のために、緊急の資金支援を行いました。
その結果、非営利団体マーサ・オブライエン・センターの体育館は、パンデミック前と現在ではかなり様相が異なっています。バスケットボールの試合や地域の集会が行われていたスペースは、今では3メートル四方のワークステーションに仕切られ、それぞれに机とパソコンが設置されています。
YMCA
ABは、デビッドソン・カウンティY-CAPブラック&ラテンアメリカ・プログラムのスポンサーとして、機会格差をなくすことで、危険にさらされ、恵まれない若者が最も輝かしい未来を実現できるよう支援しています。
Y-CAPは、メンタリングやコーチング、識字教育、介入・予防プログラム、大学進学準備のためのリソースなどを提供しています。私たちの寄付は、メトロ・ナッシュビル公立学校区内の生徒への支援に役立っています。
市民活動の促進
ABは、従業員との市民活動促進を公約する超党派の企業連合であるシビック・アライアンス(the Civic Alliance)に名を連ねています。ABでは市民活動を支援するために、米国の従業員が次期選挙に投票するか、投票所係員を務める場合には有休を付与しています。2020年以降は北米以外の社員に対しても同様の措置をとっています。
従業員の健康管理を第一に
ABにとって、従業員の健康は最大の関心事です。優れた福利厚生、学びの機会、キャリア開発、経済的・身体的・精神的な健康の促進などに焦点を当てた包括的なプログラムを従業員のために構築しています。私たちの目標は、AB をより良く、より充実した職場にし、私たちが暮らす社会をより良く反映する企業にすることです。
従業員とその家族の健康と安全を第一に考え、ウェルネス・プログラムを強化し、医師によるポッドキャスト、マインドフルネスと瞑想のアプリ、子育て支援リソース、バーチャル・セラピー・プログラムなどのツールを充実させると同時に、シニア・リーダーの意思決定について透明な関係を重視しています。
ジェンダーと人種間の平等の推進
米国をはじめ各地で起きている不公正に関する問題や社会不安により、私たちが前進しなければならない必要性が高まっています。ABでは、多様な見解、アイデア、バックグラウンドの価値を認識し、変革を推進することを目指しています。人種的な不公正や不平等と闘うため、私たちは多くの行動を取り、それを評価しています。
その取り組みの一環として、多様な人材の採用、育成、定着を促し、より多様性に富むリーダーがシニア・レベルで意思決定の役割を担うための方法を強化しています。私たちは企業としての慈善活動を見直すとともに、サプライヤーのダイバーシティを促し、倫理及び人権に関する基準を遵守しています。私たちは投資家として好ましい変化を後押しし、お客様により優れた投資リターンを提供すべく努力することにコミットしています。
事例:ダイバーシティ&インクルージョンの促進
- ABは、ヒューマン・ライツ・キャンペーン財団の「企業平等指数」において、7年連続で100%のスコアを獲得しています。
- CEOのセス・バーンスタインは各界企業リーダーが主宰する「ダイバーシティとインクルージョンのためのCEOアクション」のメンバーを務めています(職場でのダイバーシティとインクルージョンを推進する世界規模のCEO連合体。2018年8月からメンバー)。
- 若手や少数グループからの人材採用を支援するため、Girls Who Invest、Year Up、Cristo Rey Network、INROADS、Investment 20/20などの非営利プログラムと連携しているほか、AB独自の大学2年生向け夏季リーダーシップ・プログラムを開発しました。